パーソル総合研究所の「生成AIとはたらき方に関する実態調査」によると、生成AIによって個々のタスクにかかる時間は平均で16.7%短縮されたが、業務時間そのものが減少した利用者は25.4%にとどまっている。業務時間を削減できた人のうち、61.2%が浮いた時間を仕事に使っており、その時間で仕事をすると答えた人の75.4%が日常業務を挙げている。
AIによる業務効率化が労働時間の短縮や雇用増加につながらない実態、国内外の調査で判明
PLUS ULTRA by アメノヨミ
同研究所の田村元樹氏は、週40時間という労働時間の枠が変わっていないことが原因であると指摘する。AIによってタスクが効率化されても、新たな業務が追加されることで、結局は総労働量が変わらない、あるいははみ出した分が残業になる仕組みになっている。また、AIが労働量(分母)を削減しても、付加価値(分子)が増えなければ、計算上の生産性は向上するものの、実質的な企業の生産性向上には結びつかないという課題もある。
一方で、AIが雇用に与える影響については世界的に懸念が広がっている。ピュー研究所が世界37カ国を対象に行った調査(2026年9月17日発表)によると、日本を含むほとんどの国で「AIは雇用喪失を引き起こす」と回答した人の割合が、「雇用増加を引き起こす」と回答した人を上回った。特にオーストラリア、韓国、アメリカでは、雇用喪失を予想する回答が70%を超えている。
同調査では、AIによる雇用への影響について、多くの国で50歳以上の高齢層よりも18〜34歳の若年層の方が雇用喪失を懸念する傾向があることも示されている。また、全体としてAIが貧富の差を拡大させると考える傾向も見られ、特に高所得国においてその傾向が強いことが明らかになった。
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AIで個々のタスクが短縮されても、週40時間という労働時間の総枠が変わらなければ、浮いた時間に新たな業務が詰め込まれるという構造的な課題があります。例えば、従来8時間かかっていた仕事がAI活用で4時間に短縮された場合、その業務は「4時間で終わる仕事」として定義され、残りの4時間に別のタスクが割り当てられる傾向にあります。パーソル総合研究所の調査でも、AIでタスク時間が短縮された一方で、業務時間そのものが減少した利用者は25.4%にとどまり、削減できた人の多くがその時間を日常業務などの仕事に充てていることが示されています。
この現象は、労働生産性の考え方で整理できます。労働生産性は「付加価値(分子)÷労働量(分母)」で算出されますが、AIが削減しているのは主に分母である労働量です。同じ成果物を出す時間が半分になれば計算上の生産性は向上しますが、提供する価値(分子)自体が増えなければ、実質的な企業の生産性向上や価格転嫁には結びつきにくいと分析されています。
一方、AIが雇用に与える影響については、世界的に不安が広がっています。ピュー研究所が世界37カ国を対象に行った調査では、日本を含むほとんどの国で「AIは雇用喪失を引き起こす」と予想する人が、「雇用増加を引き起こす」と考える人を上回りました。特にオーストラリア、韓国、アメリカでは、70%以上の回答者が雇用喪失を予想しています。
こうした懸念は、1人あたりGDPが高い国ほど強く現れる傾向にあります。また、年齢層別では、50歳以上の高齢層よりも18〜34歳の若年層において、AIによる雇用喪失への不安がより一般的であることが報告されています。
さらに、AIが貧富の差を拡大させ、不平等を悪化させると考える傾向も世界的に見られます。特に裕福な国や若い世代において、AIによる格差拡大への懸念が顕著に現れています。
出典
- 経営「AIでラクして早く帰って」→社員「帰らない」 工数最大9割減のDeNAも悩むAI効率化の壁 (ITmedia AI+、2026-09-18)
- 世界37カ国のうち日本を含むほとんどの国で「AIは雇用増加ではなく雇用喪失を引き起こす」と予想されていることが判明 (GIGAZINE、2026-09-18)