Googleのプロジェクトチームは、完全準同型暗号(HE)コンパイラ「HEIR」に関する詳細を公開しました。HEIRは、入力プログラムを、暗号化されたデータに対して直接演算を行うプログラムへと変換するコンパイラです。この技術により、計算機は復号することなく、入力データや中間値、出力データの内容を一切知ることなく処理を継続できます。
HEIRは学習済み機械学習モデルのコンパイルにも対応しており、プライバシーを完全に保護した状態での推論サービス提供を可能にします。プロジェクトのロードマップや詳細な仕組みについては、公式ドキュメントなどで公開されています。
実証実験として、クレジットカードの不正検知モデルを用いた例が示されました。このモデルは3層のフィードフォワードネットワークで構成されています。シングルスレッドのCPU環境において、暗号化データを用いた推論には約2秒を要しました。一方、平文データを用いた場合の実行時間は0.5ミリ秒でした。
暗号化による処理時間は、平文時と比較して約4000倍の遅延が生じています。この実験では2つの行列ベクトル積と、2回のシグモイド関数による評価が含まれています。
出典: Updates on HEIR, the Homomorphic Encryption Compiler Project(Hacker News Frontpage、2026-09-05)