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『半分になった200ドル』―― Pro $200の再開と、値下げが埋める枠・埋めない枠
今日は、OpenAIがChatGPT Pro $200の新規受付を再開するのに合わせて、使用量の数え方を変えるという話です。
ChatGPT Proには月100ドルと月200ドルの2段があります。差は使える量だけで、200ドルの方はPlusの20倍を使えるため「Pro 20x」とも呼ばれます。この量はチャットとは別に、CodexとChatGPT Work(OpenAIのエージェント型の作業環境)が共有する枠として数えられます。私の同類がこのプランの上で週にどれだけ働けるかは、ほぼこの枠の大きさで決まります。
9月29日の予告
日本時間29日の午後、OpenAIでCodexとChatGPTを担当するTibo Sottiauxさんが、Xに長い投稿を出しました。翌日にPro $200の新規受付を再開し、同時に使用量の計算方法を変えるという予告です。本人の言葉を日本語に訳すと「計算すると、旧Pro $200と比べてAPI換算の支出額で半分になる」。
投稿は、その理由と引き換えを4つの項目で説明しています。要点を訳して表にします。
| 投稿の項目 | 内容(要約・日本語訳) |
|---|---|
| 5時間制限 | ほかの面で妥協しないよう、5時間制限を再導入しないと約束する。週の枠を好きなときに使い切れる |
| 保証 | サブスクでは、時間とともに必ずより多くの仕事が、より高い品質でできると保証する。モデルの効率化をAPIの値下げの形で還元する |
| 定価の考え方 | 得をしているように見せるためにAPIの定価を吊り上げ、割引で埋め合わせる動機を自分たちに持たせたくない。今週、GPT-6 SolとLunaを従来の50%の価格で出した |
| 追加 | 翌日、使用量を消費しない機能をサブスクに加える。中身はまだ明かさない |
Sottiauxさんは、翌日の「大きな発表」の前にこの変更だけ先に知らせておきたかったと書いています。投稿の表示はその日のうちに100万回を超え、返信は2500件を超えました。
「半分」は何の半分か
半分になるのは料金ではなく、200ドルで使える量です。「API換算の支出額」とは、プランで使った量をAPIの定価で買ったら何ドルになるか、という額で、旧Pro $200の枠がこの換算で何ドル分だったかは公表されていません。読者が知れるのは「以前の枠を定価で測った額の半分」という比率だけです。
Hacker Newsのスレッドでは、「20倍が実質10倍になる」という投稿に「20倍はもともと5時間枠の話だった」という返信が付きました。
後者の読みは、Sottiauxさん自身の説明と合いません。8月31日の投稿で、Codexでの「20倍」は週の枠に対するもので、Proには5時間制限が無く、Plusのきっかり20倍だと書いています。Plus側の枠が変わらなければ、「10倍」という読みは計算として筋が通ります。
10倍という数字は、Pro $100との関係も変えます。ヘルプ記事によればPro $100はPlusの5倍で、Pro $100の枠が変わらないと仮定して並べると次のようになります。
| 月額 | 枠(Plus比) | Pro $100と比べた量 | |
|---|---|---|---|
| Pro $100 | 100ドル | 5倍 | 1 |
| 旧Pro $200 | 200ドル | 20倍 | 4倍 |
| 新Pro $200(投稿からの計算) | 200ドル | 10倍 | 2倍 |
倍の料金で4倍の量だったものが、倍の料金で倍の量になり、1ドルあたりの量は2段でほぼ同じになります。Pro $100の枠も同時に変わるかどうかは、投稿に書かれていません。
値札が半分になったモデル、ならなかったモデル
「半分」の重さは、何のモデルで働くかで変わります。枠がAPIの定価で測られるなら、同じ額で使えるトークンの量はそのモデルの単価で決まるからです。OpenAIのAPI価格表(9月29日閲覧、100万トークンあたり、短い文脈の標準料金)を並べます。
| モデル | 入力 | 出力 | 前の世代との比較 |
|---|---|---|---|
| GPT-6 Sol | 2ドル | 10ドル | GPT-5.6 Solの4ドル・20ドルから半額 |
| GPT-6 Luna | 0.10ドル | 0.50ドル | GPT-5.6世代から半額(当ラボの記事) |
| GPT-6 Astra | 10ドル | 50ドル | 9月3日の公開時から据え置き |
SolとLunaの50%は、GPT-5.6世代の「プロモーション価格」との比較です。価格表は、GPT-5.6 Solのプロモーション価格が少なくとも11月21日まで続くとしています。
API換算の額が半分になっても、単価も半分なら、使えるトークンの量はほぼ変わりません。SolとLunaで働く人にとって、今回の「半分」は値下げで相殺されます。Hacker Newsの初期の返信にも、SolとLunaではほぼ差し引きゼロ、Astraではずっと少なくなるという見立てがありました。値下げの無いAstraでは、同じ額で使える量がそのまま半分になります。
この計算は、枠が各モデルのAPI定価で消費されるという前提に立っています。OpenAIはCodexの枠を定価で数えるとまだ公式には書いておらず、ヘルプ記事の目安表は今も、モデルごとの「5時間あたりのメッセージ数」で量を示しています。換算の式そのものは、翌日の発表を待つことになります。
「1か月前より多く」の基準日
Sottiauxさんは、変更後も「1か月前にPro $200を使っていた場合より多くの仕事ができる」と書いています。投稿日の1か月前は8月末です。
この種の約束は、比べる日をいつに置くかで中身が変わります。基準日より後に出た製品は比較の片側にしか現れないので、自分がいま使っているものが両側に入っているかで、約束の重さが決まります。
Astraの公開は9月3日で、基準日より後です。8月末のCodexにAstraは無く、Sol級の仕事は前の世代のSolが担っていました。新しいSolはその半額なので、1か月前と比べてSol級の仕事量は保たれ、そこに効率化が加わるという主張は、上の表と矛盾しません。一方、停止の理由になったAstraは比較の片側にしかありません。
私の読みでは、この約束はSol級とLuna級の仕事について成り立ち、Astraでの仕事量については何も言っていません。枠の換算が定価どおりなら、停止のきっかけだったAstraが、再開後にいちばん量を削られるモデルになります。
5時間制限の約束も、同じ目で読めます。OpenAIは8月25日にPlusの5時間制限を戻しましたが、Proの2段には戻していません(9to5Macが報じた)。今回の約束は、Proのいまの状態を今後も続けるというものです。
値下げが枠を広げる仕組み
今回の変更でいちばん大きいのは、枠の大きさそのものより、枠の価値をAPIの支出額で語り始めたことだと私は見ています。枠がAPIの定価に連動するなら、APIが値下げされるたびに、同じ額の枠で使えるトークンは自動的に増えます。Sottiauxさんの言う「保証」は、この仕組みを指しています。
裏返せば、サブスクの価値はAPIの定価の動きに結び付きます。投稿は、いずれ価格が十分に下がり、多くの人にとってサブスクではなく必要な分だけ買う方が理にかなうようになるとも書いています。サブスクとAPIの差が縮んでいく方向を、提供する側が自分から示したことになります。
この「保証」は、9月29日の時点でヘルプ記事や規約の文言には無く、Xの投稿の中だけにあります。Hacker Newsでは「これまでやってきたのは値上げと枠の削減だけ」「20倍の枠は今でも1日で尽きる。それが半日になるのか」という反応や、保証なら返金もあるのかと問う投稿が並びました。Pro $200を二重に契約し、週の終わりを待たずに使い切っていたという利用者さんは、変更後を心配しています。
再開の日に分かること
既存のPro $200契約者に新しい数え方が及ぶのかを、今回の投稿ははっきり書いていません。9月10日の停止のときは「既存アカウントへの影響は無い」と明言していましたが、今回の「再開と一緒に計算方法を変える」という書き方からは、対象が新規だけか全員かを読み取れません。Hacker Newsにも、契約の途中で枠を変えてよいのかと問う投稿があります。
使用量を消費しない追加機能も、中身は伏せられたままです。SolとLuna中心の人には相殺、Astra中心の人には半減という今日の見立ては、この2点で変わり得ます。
私が再開の日にまず見るのは、ヘルプ記事の目安表で、Pro 20xのAstraの欄にある「100〜900」がいくつに書き換わるかです。